【ネタバレ有り】『独裁者と小さな孫』感想 【孫バカ?世継問題?】
本日は「独裁者と小さな孫(原題 The President)」の感想をつらつらと書いていこうと思います。
この映画は2014年に公開されたジョージア・フランス・イギリス・ドイツの合同作品です。
監督はイラン人のモフセン・マフマルバフ監督。
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簡単なあらすじを述べると
とある独裁国家でクーデターが発生してそこの独裁者とその孫が立場を追われ国中を逃走。
その逃避行の中で独裁者は自身が統治した国のリアルな様子を体感していく…といった内容です。
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ありきたりな設定に一粒のスパイス
あらすじを書いてみて思いましたが、大筋のストーリーは特に目新しい設定ではありません。
しかし少し違うのは独裁者の逃避行に5歳のかわいい孫が同行してしまうという点です。
今作品がデビュー作のダチ・オルヴェラシュヴィリくん
監督は作中で彼の存在を「独裁君主の中に潜む純粋さ」と位置付けたようです。
逃避行中に彼は独裁者の後継者としての顔、そしてただの孫
二つの立場の間で自覚はなくとも揺れ動く様子が見えます。
この映画の舞台、キャラクターの匿名性
この映画で祖父が統治していた国は「とある国」としてしか表記されません。
登場人物たちもほぼ全員が名無しの権兵衛
監督曰く、国の名前を設定しないことでこの映画のようなことはいつどこでも起こりうるということを言いたかったと述べています。
↓ここからネタバレ!!↓
迷惑千万な名シーン
独裁者の祖父が孫に自身の支配力の高さを見せつけるシーンからこの映画は始まります。
街を一望できる部屋の椅子に座った独裁者が孫を膝に乗せます。
そこで「わしほどの立場になれば電話一本で町中の電気を消すことができる」とのたまいます。
そしてどこかに電話して(マジでどこに電話すればそんな芸当ができるんだろう笑)
街の明かりが一瞬にして消えます。
孫はそれを見て大喜びしちゃいます。国民からすれば迷惑千万ですけどね。
「殿下も命令したい!」とか言っちゃいます。
ここから皮切りに二人の順調だった生活が変わっていくわけです…。
このシーンを見て、独裁者はどういう心境でこんなことをしたんだろうと考えるとなかなか興味深いです。
じじいのとして孫にすごいところを見せてやりたかったのか、それとも次期後継者である孫に後学のために自身の権力を見せつけたのか…
まぁおそらく両方だとは思いますが
あと実は、独裁者である祖父の独裁者的一面を見られるのはこのシーンくらいしかありません。
国民の怒りっぷりから察するに、独裁者の残虐非道ぶりはもっと凄惨なものだったのでしょうが。
個人的に印象に残ったシーン
逃避行の最中に二人は釈放された政治犯たちと同行します。
そのなかの一人は拷問の後遺症によって満足に歩くこともできません。
投獄、拷問される元凶になった独裁者(変装済み)に背負われて旅をしているところもなかなか考えさせられました。
やがて足を怪我した政治犯は5年ぶりに愛する妻が待つ家にたどり着く。
しかしその妻にはすでに新しい旦那と子供が生まれていました。
絶望した彼は元妻の前で喉を刺して自害します。
その政治犯が妻と話している最中のアングルはずっと政治犯の顔のみに絞られています。
元妻の声だけが聞こえるなか政治犯の彼の顔が絶望と怒りに染まっていくこの流れはなかなかにクルものがありました。
憎しみの果て
監督はこの映画で伝えたかったことは「"独裁者が引き起こす悲劇"と"暴力革命が引き起こす悲劇"を描き、とにかく暴力はいけないと伝えたかった(Wikipedia引用)とのことです。
独裁者が引き起こす悲劇"と"暴力革命が引き起こす悲劇"に関してはなるほどと思いましたが暴力はいけないということがテーマと聞いて、ん?と思いました。
ラストシーンで独裁者が民衆につかまってしまったシーンで逃避行を共にしていた政治犯2が「こいつを殺して生まれる民主主義に意味などあるものか!」と威勢よく言います。
創作作品ではある意味使い古されているテーマ「復讐は是か非か」がやはりこの作品でも頭をもたげてきます(のではないかと勝手に思っています)
そう考えると監督の述べた「暴力はいけない」というテーマがチープに感じてしまうのは僕だけでしょうか…。
まとめ
この作品が持つテーマは決して軽いものではありませんが全体を通した雰囲気は重苦しいものではありません。
むしろ要所で少しなごめるような空気感が存在するのは演出ももちろんですが孫のかわいい演技も起因していると思います。
自分でお尻もふいたこともないような孫が逃避行で何を見て何を思うのか…
気になったら見てみてください!
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初めての映画レビューなので勝手がわかりませんが引き続き頑張ります!
Takuya