Takuyaはおひとり様@大阪

映画のレビューとかをする20代♂ ジャンルはアクション、ホラー、サスペンス、アニメ、なんでもござれ!自分が興味を持った映画を気ままに書き綴っています ※すでに映画見た方向けの感想を書いていきます

【ネタバレ有】ヒメアノ~ル【主演、森田剛の怪演が光る】R15

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本日は2016年公開、漫画原作の「ヒメアノール」の感想をつぶやきます。

※実はこの文章を書く前に宇多丸さんの感想を聞いてしまったので少なからず影響受けちゃうかもしれないです 笑

 

原作は古谷実さんが描いた同名漫画です。

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実は僕は古谷実氏の「ヒミズ」「わにとかげぎす」がとても好きでして…ただ恥ずかしながら同作は未読でした。

 

先に映画を見て、結果的には良かったかもしれません 

 

ちなみにタイトルのヒメアノールとは、爬虫類の一種でこの作品では絶対的強者に対する捕食される側の存在を指しているようです。

 

それでは下記にいくつか事前情報を… 

 

清掃会社のパートタイマーとして働く岡田進は、何も起こらない日々に焦りを感じていた。同僚の安藤勇次は自分の恋を岡田に手助けさせるため、阿部ユカの働くカフェへ岡田を連れていく。そこで岡田は高校の同級生だった森田正一と再会する。

気の進まぬまま安藤の恋路を助ける岡田だったが、ユカとの会話で、森田がユカのストーカーをしているらしいこと、そしてユカが岡田に一目惚れしていたことを知る。

(Wikipediaより引用) 

監督 : 吉田恵輔

 

主演キャスト

森田 : 森田剛

岡田 : 濱田岳

阿部ユカ : 佐津川愛美

安藤 : ムロツヨシ

 

 

 

今回は最初からネタバレ注意!

 

 

 

なんといっても森田剛の演技が光る

今作が単独主演としては初の森田剛。役どころは世間の流れからはみ出してしまったサイコパスです。

 

初の主演とはまったく思えないほどの怪演ぶり!

人と話すときの挙動一つ一つが、こいつは何かがおかしいという雰囲気を醸し出していて見事にサイコパスを演じきっていました。

 

作中で森田剛演じる森田(ややこしい)は学生時代の凄惨ないじめがきっかけで人格が破綻しサイコパス化してしまった…ように描かれています。

ただただそれはきっかけに過ぎず物語として描かれなかった時期に積み重なった「何か」が彼をそこまでに至らせてしまったのではないかと、推測してしまうほどのこのキャラクターは引き込まれやすいものでした。

 

ラーメン屋で、自分のアパートで5人の死体が発見された旨のニュースが流れたときにも一瞥してそのまま興味なさそうにラーメンをすするあの感じ!

本当に興味ないんだろうな…人格の欠落っぷりをよく表してますよね

 

彼のここまでの怪演がなければ、この映画の他のいい部分にもスポットは当たらなかったのではないかとまで思えてしまいます。

 

森田以外にも光るキャラクターたち

 

今作品のヒロイン、佐津川愛美演じる阿部ユカ

上記に書きましたが僕は原作は未読でこの映画を見ましたが、このヒロインは見れば見るほど、古谷実が描くヒロインっぽいな~笑 と思ってしまいました。

彼女のような美少女が気弱な岡田との大した接点もなく惚れてしまう、なんていう流れが「あぁ~やっぱり古谷実だわ」と思ってしまいました。

いかにも童貞が好きそうな美少女って感じがたまらない…

 

それに対して岡田の先輩、ムロツヨシ演じる安藤は逆の印象でした。

ムロツヨシ自身の持ち味は存分に生かしつつ、古谷実が描く「気持ち悪い人枠」とは逆の表情で演じているなと思いました。

 

古谷実氏の漫画を読んだことある人はわかると思うんですが同氏の描くキャラってめちゃくちゃ表情豊かなんですよ、もう顔芸かっていうくらい

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でも今作でムロさんは逆に無表情に安藤を演じていましたがこれがいい感じにコミカルで気持ち悪い(誉め言葉)

 

ただ岡田たちと日本酒を飲みに居酒屋に行った時のぴしっとキメた安藤は普通にイケちゃってるんじゃないかと思いました 笑

 

物語を二分割するタイトル挿入

物語中盤のタイミング、岡田と阿部ユカのベッドシーンの最中、家を外から眺める森田の後ろ姿と不気味な音楽と共に「HIMEANOLE」のタイトルが浮かび上がります。

 

このタイトル挿入のタイミングまで、物語の前半までは森田の怪しげな雰囲気は残しつつ、メインで動くのは岡田、阿部ユカ、安藤の三人です。

この三人の恋愛模様がコミカルな流れで描かれています。

 

そこからこの後半のタイトル挿入から森田の凄惨な殺人、レイプの描写がメインになります。

 

まるで本当の物語はここから始まるんだと言わんばかりのタイトル挿入のタイミングに思わずぞっとしました。

 

僕はこういう演出ひじょーに好きなんですが、歌多丸さん曰くこの監督さんはこういう物語を二分割する演出は初めてではないみたいですね。

 

名シーン!交錯する性と暴力

 

僕がこの映画見てて一番ニクいな~と感じたシーンが

物語後半、岡田たちの濡れ場と森田の殺人現場が同時にフラッシュするかのようにカットが交錯するシーンです。

 

あの演出がすごく斬新っていうわけではないですが、監督がどういうことを伝えようとしていたのかを考えると…ぞくぞくする

 

時系列はわからないですが、一つのカップルの幸せな瞬間ともう一つの真逆、最悪な瞬間が確かに現実に起こっているということを訴えかけられますよね。

しかもその二つを対比することによってお互いの幸せ、最悪な瞬間がより強調されるなと感じました。

まぁただこの映画のテーマ上凄惨な殺人現場の方がより、協調されているような気がしました。

 

あとひとつ言いたいのが

 

眼鏡の彼女はよ動けやーーー!!!もたもたすんなーー!

って点です 笑

 

物語の最後の語り部、わんこ

 

映画の最後のシーン、森田が岡田を連れて車を奪い警察から逃走するシーン。

 

森田が道に飛び出した白い犬を避けて車は大破します。

 

頭を強打した森田はまるで岡田と仲良く遊んでいた時代に戻ったような口調になります。

事故のショックで一時的に記憶が混濁したのかもしれません。

 

車から引きずり降ろされる森田は事故で片足がちぎれながらも「岡田君、またいつでも遊びにきてよ」のさわやかな一言。

マジでさらっと何事もなかったかのようにこんなことを言っちゃう。これが恐ろしくも物悲しい。

 

この記憶の混濁を引き起こしたきっかけは、事故の理由となった「白い犬」ではないかと推測できます。

 

かつての森田と岡田が仲良くゲームをしていた学生時代の映像でこの映画はエンドロールへと流れます。

そのラストカットが森田が飼っていたと思われる白い犬。

まだ幸せだったあのころの記憶が、岡田と白い犬という二つのピースで目覚めたのではないでしょうか(白い犬はきっかけに過ぎないと僕は思いますが)

 

まとめ

 

今回の映画を観終わってすこーしだけ残念に思った点があります。

「思ったほどグロ描写が少なくまだ救われるエンディング」だという点が少し物足りないなと思いました。

 

監督はより多くの人に見てもらいたくてR18にならずR15になるギリギリのラインで血糊や描写を計算して撮影に挑んだと言っていたのをどこかで読みました。

 

ただその点を除けばこの映画非常に面白かったです。

 

まぁ正直友人や恋人とみる類の映画ではありません 笑

家でひっそりと一人でみることをお勧めします…

 

僕は原作を読むことを決意しました。

皆さんもぜひ!

 

では