【ネタバレ有】ドント・ブリーズ【悲鳴をあげられないという恐怖】R12
今回は昨年に公開となったホラー映画『ドント・ブリーズ』を語っていこうと思います。
この映画は公開当初からみたいなーと思っていたんですが残念ながら機会がなく映画館では見れませんでした…WOWOWでもう公開したのでさっそく視聴!
それでは事前情報を少し…
舞台はアメリカ・デトロイト。経済破綻しゴーストタウン化が進む街で、養育放棄の両親と暮らす不良少女ロッキーはいつの日か共にここから抜け出そうと妹に約束していたが、そのために必要な逃走資金を得られるあてはなかった。
ボーイフレンドのマネーから地下室に金庫を持っているらしい視覚障害者宅への強盗を持ちかけられた彼女はマネーと友人のアレックスの3人で真夜中に盲目の男性の屋敷に押し入る。だがその男は元・軍人であり、盲目でも超人的聴覚を持ち、侵入者の殺害も厭わない恐ろしい人物だった。果たしてロッキーとアレックスは、即座にマネーを殺害した盲人の追撃を回避して、悟られることなく静寂を保ったまま密室の家屋から脱出できるのか。 (Wikipediaより転載)
本作はアメリカのホラー映画となっていますが、今作のホラーの対象はお化けやゾンビではなく盲目の老人。(作中ではこの老人の名前は出てきません)
しかし彼はただの老人ではなく元軍人のスーパーおじいちゃん。
声めちゃくちゃ渋くてかっこいいんですよ…この人は確か「アバター」でも悪役の軍人として出演していましたね。
老人はイラクでの戦争で手りゅう弾を目に受けてしまいそれ以来目が見えないそうです。
あらすじを僕なりに少し補足します。
主要人物はこの老人と強盗に入った 3人の若者。
3人は「目が見えないじじいが家に30万ドル隠し持っているらしいからぶんどってやろうぜ」と計画します。ただ正確には警備会社のカギをもつアレックスは全く乗り気じゃないですが、ひそかに恋い焦がれるロッキーをこのただれた生活から脱却させるために仕方なく強盗に協力します。
ここからネタバレ注意!
結局一番怖いのは「狂っていないサイコパス」
この映画の見どころは目の見えない殺人者が自分のすぐ横を通り過ぎていく恐怖と緊張感。
このシーンが一番ひやっとしました…
本当にぎりぎりで回避成功!でもこの時の足音でバレててもおかしくなさそうですが…。
この老人、映画の前半あたりまではただの「目が見えない強いおじいちゃん」でした。
そりゃそうだ。自分の家に侵入してきた泥棒を撃退しているのだから(冷静に銃弾をお見舞いしたりちょっとやり方は過激ですが)しょうがないと言えばしょうがない。
ですがロッキー(女の子)とアレックス(気弱な青年)が家から脱出するために地下室に降りてあの「秘密」を見つけてしまうと「ただの盲人」という肩書にキ〇ガイの単語が加わってしまいます。
でもこの老人。やらかしていることは完全にやばい人なのに言動の節々はその雰囲気を全く感じさせません。
静かな狂気、ロッキーのズボンをはさみで切り裂き、冷凍精子が入ったスポイトを手に近づく老人がマジで恐ろしく感じました。女性にはもっと恐ろしく感じられるシーンでしょう。
※その後の老人がロッキーにスポイトを思い切り突っ込まれるシーンも違う意味で恐ろしく感じましたが 笑
レイプによる快感を得ようという浅はかな悪行ではなく、ただ「亡くなった自分の娘の代わりを『創る』」という根の深い行動が本当に末恐ろしい。
犬、最強説
今作の主要人物は老人と3人の若者と先述しましたが正確にはもう一匹の犬が登場します。
この犬が(老人視点から見れば)非常にいい仕事をします。
やはり盲人の老人なので一応盲導犬という立場なんでしょうが…こいつ、マジで狂暴です。
絶対盲導犬なんか無理だろ!!と今なら思います。
よっく見たらつぶらな瞳してやがるぜこいつ…
ロッキーやアレックスもこいつがいなければ普通に動けたでしょう。
この映画の設定上難しいと思われた視聴者を急な音などでびっくりさせる演出にも彼が一役買ってくれます。洋ホラー映画には必ずある演出ですね 笑
肝が据わりすぎの老人(Lv.99)
この老人、非常に強いです。
銃を持った健常者を相手取って銃を奪って勝っちゃうんですから。
しかし!
しかし!!
それにしたって老人不用心すぎやしませんか?!
途中まで強盗犯が何人いるのかも分からないにも関わらず、普通に歩き回っているんですから 笑
そりゃあロッキー側から見たら仲間が見事な手腕で無残に殺されて恐ろしいのはわかるけど…アレックス待ち伏せして後ろから殴れよ…
あ、殺したら罪が増えるか…
誰が悪か、善い人などいるのか
この作品の難しいところは基本的に人に誇れるほどの人格を持った人物がいないところです。
老人は侵入された側とはいえ、明らかに倫理的に逸脱した行動をとっているので、明らかに善ではありませんし、マネーは単純に金が欲しいゆえの犯行、アレックスも犯行に乗り気ではないにせよ結局行動を起こしてしまいます。
そしてロッキーに関しても妹と平和な暮らしのためという理由があるとはいえ強盗に挑むという悪行。しかも目の見えない老人宅に。
このロッキー『金は欲しい、警察に捕まりたくない、殺されたくない』ある意味当然ともいえる葛藤にもつれているのがありありとわかるのですがこれが非常にイライラする 笑
ただ最後にはロッキーも決断しますが…
完全な善人も、完全な悪人もいないのです。
そこを考えると今作はある意味すごく感情移入しづらい作品だと思います。
個人的に少し物足りない終わり方
この映画のラストは老人とロッキーの痛み分けに終わりました。
老人は卑劣な強盗の被害者として報道されました。実際金はロッキーに強奪されてしまいましたが、監禁していた女性のことは闇に葬られる形になってしまいます。
そりゃそうです。ロッキーがこのことを告発でもしようものなら自身の強盗の罪もすべて白状する必要があるのですから…。
「その金はくれてやる。そのかわり…わかっているな?」と老人の心境が聞こえてきそう。
個人的な希望を述べると、老人とロッキーの抱えた罪はすべて露呈して両方が堕ちていくラストが観たかった…。
一人寂しげにうつむくロッキーの妹のアップの後、エンドロールに移行とか良くないですか?
まぁそんなこと言いながらも実際の終わり方もなかなか気持ち悪くて好みでした 笑
まとめ
この映画が劇場で公開されたときは非常に話題になっていた作品でしたね!
トレイラーのクオリティーも非常に高くとてもわくわくさせられました。
ホラー映画好きな方にはぜひ観ていただきたい作品です。
従来のホラー映画の驚かせ方とはまた少し違った目線で攻めてくる「怪作」だと思います。
では
【ネタバレ有】ヒメアノ~ル【主演、森田剛の怪演が光る】R15
本日は2016年公開、漫画原作の「ヒメアノール」の感想をつぶやきます。
※実はこの文章を書く前に宇多丸さんの感想を聞いてしまったので少なからず影響受けちゃうかもしれないです 笑
原作は古谷実さんが描いた同名漫画です。
実は僕は古谷実氏の「ヒミズ」「わにとかげぎす」がとても好きでして…ただ恥ずかしながら同作は未読でした。
先に映画を見て、結果的には良かったかもしれません
ちなみにタイトルのヒメアノールとは、爬虫類の一種でこの作品では絶対的強者に対する捕食される側の存在を指しているようです。
それでは下記にいくつか事前情報を…
清掃会社のパートタイマーとして働く岡田進は、何も起こらない日々に焦りを感じていた。同僚の安藤勇次は自分の恋を岡田に手助けさせるため、阿部ユカの働くカフェへ岡田を連れていく。そこで岡田は高校の同級生だった森田正一と再会する。
気の進まぬまま安藤の恋路を助ける岡田だったが、ユカとの会話で、森田がユカのストーカーをしているらしいこと、そしてユカが岡田に一目惚れしていたことを知る。
(Wikipediaより引用)
監督 : 吉田恵輔
主演キャスト
森田 : 森田剛
岡田 : 濱田岳
阿部ユカ : 佐津川愛美
安藤 : ムロツヨシ
今回は最初からネタバレ注意!
なんといっても森田剛の演技が光る
今作が単独主演としては初の森田剛。役どころは世間の流れからはみ出してしまったサイコパスです。
初の主演とはまったく思えないほどの怪演ぶり!
人と話すときの挙動一つ一つが、こいつは何かがおかしいという雰囲気を醸し出していて見事にサイコパスを演じきっていました。
作中で森田剛演じる森田(ややこしい)は学生時代の凄惨ないじめがきっかけで人格が破綻しサイコパス化してしまった…ように描かれています。
ただただそれはきっかけに過ぎず物語として描かれなかった時期に積み重なった「何か」が彼をそこまでに至らせてしまったのではないかと、推測してしまうほどのこのキャラクターは引き込まれやすいものでした。
ラーメン屋で、自分のアパートで5人の死体が発見された旨のニュースが流れたときにも一瞥してそのまま興味なさそうにラーメンをすするあの感じ!
本当に興味ないんだろうな…人格の欠落っぷりをよく表してますよね
彼のここまでの怪演がなければ、この映画の他のいい部分にもスポットは当たらなかったのではないかとまで思えてしまいます。
森田以外にも光るキャラクターたち
今作品のヒロイン、佐津川愛美演じる阿部ユカ
上記に書きましたが僕は原作は未読でこの映画を見ましたが、このヒロインは見れば見るほど、古谷実が描くヒロインっぽいな~笑 と思ってしまいました。
彼女のような美少女が気弱な岡田との大した接点もなく惚れてしまう、なんていう流れが「あぁ~やっぱり古谷実だわ」と思ってしまいました。
いかにも童貞が好きそうな美少女って感じがたまらない…
それに対して岡田の先輩、ムロツヨシ演じる安藤は逆の印象でした。
ムロツヨシ自身の持ち味は存分に生かしつつ、古谷実が描く「気持ち悪い人枠」とは逆の表情で演じているなと思いました。
古谷実氏の漫画を読んだことある人はわかると思うんですが同氏の描くキャラってめちゃくちゃ表情豊かなんですよ、もう顔芸かっていうくらい
でも今作でムロさんは逆に無表情に安藤を演じていましたがこれがいい感じにコミカルで気持ち悪い(誉め言葉)
ただ岡田たちと日本酒を飲みに居酒屋に行った時のぴしっとキメた安藤は普通にイケちゃってるんじゃないかと思いました 笑
物語を二分割するタイトル挿入
物語中盤のタイミング、岡田と阿部ユカのベッドシーンの最中、家を外から眺める森田の後ろ姿と不気味な音楽と共に「HIMEANOLE」のタイトルが浮かび上がります。
このタイトル挿入のタイミングまで、物語の前半までは森田の怪しげな雰囲気は残しつつ、メインで動くのは岡田、阿部ユカ、安藤の三人です。
この三人の恋愛模様がコミカルな流れで描かれています。
そこからこの後半のタイトル挿入から森田の凄惨な殺人、レイプの描写がメインになります。
まるで本当の物語はここから始まるんだと言わんばかりのタイトル挿入のタイミングに思わずぞっとしました。
僕はこういう演出ひじょーに好きなんですが、歌多丸さん曰くこの監督さんはこういう物語を二分割する演出は初めてではないみたいですね。
名シーン!交錯する性と暴力
僕がこの映画見てて一番ニクいな~と感じたシーンが
物語後半、岡田たちの濡れ場と森田の殺人現場が同時にフラッシュするかのようにカットが交錯するシーンです。
あの演出がすごく斬新っていうわけではないですが、監督がどういうことを伝えようとしていたのかを考えると…ぞくぞくする
時系列はわからないですが、一つのカップルの幸せな瞬間ともう一つの真逆、最悪な瞬間が確かに現実に起こっているということを訴えかけられますよね。
しかもその二つを対比することによってお互いの幸せ、最悪な瞬間がより強調されるなと感じました。
まぁただこの映画のテーマ上凄惨な殺人現場の方がより、協調されているような気がしました。
あとひとつ言いたいのが
眼鏡の彼女はよ動けやーーー!!!もたもたすんなーー!
って点です 笑
物語の最後の語り部、わんこ
映画の最後のシーン、森田が岡田を連れて車を奪い警察から逃走するシーン。
森田が道に飛び出した白い犬を避けて車は大破します。
頭を強打した森田はまるで岡田と仲良く遊んでいた時代に戻ったような口調になります。
事故のショックで一時的に記憶が混濁したのかもしれません。
車から引きずり降ろされる森田は事故で片足がちぎれながらも「岡田君、またいつでも遊びにきてよ」のさわやかな一言。
マジでさらっと何事もなかったかのようにこんなことを言っちゃう。これが恐ろしくも物悲しい。
この記憶の混濁を引き起こしたきっかけは、事故の理由となった「白い犬」ではないかと推測できます。
かつての森田と岡田が仲良くゲームをしていた学生時代の映像でこの映画はエンドロールへと流れます。
そのラストカットが森田が飼っていたと思われる白い犬。
まだ幸せだったあのころの記憶が、岡田と白い犬という二つのピースで目覚めたのではないでしょうか(白い犬はきっかけに過ぎないと僕は思いますが)
まとめ
今回の映画を観終わってすこーしだけ残念に思った点があります。
「思ったほどグロ描写が少なくまだ救われるエンディング」だという点が少し物足りないなと思いました。
監督はより多くの人に見てもらいたくてR18にならずR15になるギリギリのラインで血糊や描写を計算して撮影に挑んだと言っていたのをどこかで読みました。
ただその点を除けばこの映画非常に面白かったです。
まぁ正直友人や恋人とみる類の映画ではありません 笑
家でひっそりと一人でみることをお勧めします…
僕は原作を読むことを決意しました。
皆さんもぜひ!
では
【ネタバレ有】メアリと魔女の花 感想【ジブリじゃなくてポノック】
本日は現在公開中の「メアリと魔女の花」の感想をつらつらと述べていきます。
それでは事前情報を少し…
この作品はかの有名なスタジオジブリ作品ではなく、スタジオジブリに在籍していたスタッフが新たに設立した「スタジオポノック」の初長編作品です。
そもそもスタジオポノックとは?
2014年にスタジオジブリの制作部が解体しました。それに際して制作部のスタッフが解雇を言い渡されます。
長年スタジオジブリに携わってきたスタッフたちが集まり新たに立ち上げたのがスタジオポノックなのです。
ただこの話…続きがありまして、今年の5月にスタジオジブリの制作部が復興しまして新人スタッフを募集しなおすという…ちょっとダメダメなことしちゃうんですよね 笑
まぁスタッフ同士にしかわからない背景があったのかもしれないのでそこは何とも言えませんが…
監督は「借りぐらしのアリエッティ」で監督デビューを果たした米林宏昌
原作はイギリスの女性作家が1971年に発表した作品みたいです。
ジブリ作品では毎作、注目されるキャッチコピーは「魔女、ふたたび」
映画を見る前は「このキャッチコピーの魔女は『魔女の宅急便』のキキのこと…?」と思っていたんですが、見た後は「あーなるほど、あの魔女のことね」となりました。
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簡単なあらすじは以下の通り
時は昔、赤毛の魔女は魔女の国から「夜間飛行」という花の種を盗み出すが、逃走中に力尽きて乗っていた箒と共に種を森に落としてしまう。
数十年後、11歳の少女メアリ・スミスは大叔母シャーロットが住む赤い館に引っ越して来たが、テレビやゲーム機が無く退屈な日々を過ごしていた。ある日、メアリは赤い館を訪れた12歳の少年ピーターと出会うが、彼の飼い猫ティブとギブを追って森に辿り着いたメアリは、花開いた夜間飛行を見つけ、1輪を赤い館に持ち帰る。翌日、ティブを追って再び森に来たメアリは、赤毛の魔女が落とした箒を見つけるが…【Wikipediaより転載】
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この作品はコンプレックスを抱えながらも明るく快活に生きる少女、メアリ(CV 杉咲花)の成長物語となっています。
メアリがとても応援したくなるいいキャラクターなんですが、さすがジブリ節を継いでいるだけはあります。
登場するキャラクターすべてに味がある!
見え隠れするジブリファンへのサービスショット?
この作品を見に来るお客さんは十中八九ジブリに対するそれと同じ期待を持つと思います。
僕が見た限りでは「天空の城ラピュタ」「もののけ姫」「ハウルの動く城」「魔女の宅急便」「崖の上のポニョ」のオマージュのような描写がちらほら見られました。
もう一回観ればもっと見つかるかも 笑
あとこれもジブリ節というべき点ですが食べ物が美味しそう!笑
作品の舞台、イギリスの風景とそれに合ったイギリス料理が非常に美味しそうに描写されています。
今までも結構ネタバレでしたがここから核心に踏み込んでいきます!【ネタバレ】↓
最初から終盤まで物語のカギは「魔女の花」
今作品のタイトルにもなっている魔女の花、通称「夜間飛行」
メアリはこの夜間飛行を偶然?導かれて?森の中で発見します。
この夜間飛行は強大な魔法の力が秘められており、魔法使いではないメアリが使っただけで強大な魔法が一定期間ながら使うことができるという代物。
この夜間飛行をメアリが発見したことで彼女とピーター(CV 神木隆之介)の運命は大きく変わっていきます。というかピーターに関しては完全に巻き込まれた形ですが 笑
メアリがこの夜間飛行を使って(天才的な)魔法使いだと思われることで自身のコンプレックスだった赤毛のくせっ毛までも「才能ある魔法使いは皆このような髪に憧れますよ」と魔法学校校長のマダム・マンブルチューク(CV 天海祐希)に褒めちぎってもらえる。
中盤のストーリーは割愛しますが紆余曲折ありメアリは物語の終盤、最後の一粒残った夜間飛行を空に投げ捨てるのです。
「私にはもう必要ないから」
だったかな…確かこんなセリフを言いながら投げ捨てていました。
僕はこの行動とセリフでこの物語の教訓というか言いたいことを表そうとしているのかなーと思いました。
まぁ一言で言ってしまえば「足るを知る」っていることなんでしょうね。
メアリがずっとコンプレックスに思っていた失敗続きな自分にしても髪の毛にしても、否定せずに向き合っていこうとしているのではないでしょうか
だからもう私には魔法の力は必要ないの!と言っているように思えました。(僕なら間違いなくポケットに隠し持つけども)
ジブリ作品では毎作品何かしらの教訓めいたテーマを持たせているので今作品でもその傾向は引き継がれているのではないでしょうか
パクリか否か
注目作品だけあってすでに多くの人がこの作品の感想をブログで語っています。
その中で多く見かける意見が「この作品はジブリのパクリだ!」というものです。
ですが僕はこの映画を見て「パクリ」とは思いませんでした。
スタジオポノックは全体の8割が元ジブリのスタッフで構成されておりその源流は当然ながらジブリです。
上記にて少し触れていますが過去のジブリ作品の「オマージュ」と感じる描写はいくつかありました。もしかしたらその点が、「パクった」ように見える人もいるのでしょう。
悲しいかなこれも一つの特徴「ご都合主義」
先に述べておくと僕はこの作品を見て非常にいい作品だと思いました。
ただ一つ苦言を述べるとすれば、ちょっと都合がよすぎるシーンが多い、という点です。
具体的にいうと僕の好きなフラナガンがピンチになるといつも箒を持ってきてくれる点。まぁ正直この作品における彼の役割って8割がこれなんです。笑
あと物語の最後、箒の魔法の力が戻っていたのってなんで?
これが一番もやっとした点です。
子供も見る映画なのでしょうがないといえばしょうがないのですが、贅沢を言えばせめて最後の箒の一件はしっかりと理由付けしてほしかった…。
まとめ
少し文句を言ってしまいましたが、僕はこの映画は改めてゆっくり観たいと思えました。
主人公メアリが成長、大切なことに気づいていく姿が本当に応援したくなりました。
主人公を応援したくなる作品って絶対にいい作品だと思いませんか??
まだ全国の映画館にて公開中のはずなので皆さんにもぜひご覧いただきたいです!
では最後にこの物語の案内人、黒猫のティブと共にお別れしましょう。
では
Takuya
【ネタバレ有り】『独裁者と小さな孫』感想 【孫バカ?世継問題?】
本日は「独裁者と小さな孫(原題 The President)」の感想をつらつらと書いていこうと思います。
この映画は2014年に公開されたジョージア・フランス・イギリス・ドイツの合同作品です。
監督はイラン人のモフセン・マフマルバフ監督。
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簡単なあらすじを述べると
とある独裁国家でクーデターが発生してそこの独裁者とその孫が立場を追われ国中を逃走。
その逃避行の中で独裁者は自身が統治した国のリアルな様子を体感していく…といった内容です。
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ありきたりな設定に一粒のスパイス
あらすじを書いてみて思いましたが、大筋のストーリーは特に目新しい設定ではありません。
しかし少し違うのは独裁者の逃避行に5歳のかわいい孫が同行してしまうという点です。
今作品がデビュー作のダチ・オルヴェラシュヴィリくん
監督は作中で彼の存在を「独裁君主の中に潜む純粋さ」と位置付けたようです。
逃避行中に彼は独裁者の後継者としての顔、そしてただの孫
二つの立場の間で自覚はなくとも揺れ動く様子が見えます。
この映画の舞台、キャラクターの匿名性
この映画で祖父が統治していた国は「とある国」としてしか表記されません。
登場人物たちもほぼ全員が名無しの権兵衛
監督曰く、国の名前を設定しないことでこの映画のようなことはいつどこでも起こりうるということを言いたかったと述べています。
↓ここからネタバレ!!↓
迷惑千万な名シーン
独裁者の祖父が孫に自身の支配力の高さを見せつけるシーンからこの映画は始まります。
街を一望できる部屋の椅子に座った独裁者が孫を膝に乗せます。
そこで「わしほどの立場になれば電話一本で町中の電気を消すことができる」とのたまいます。
そしてどこかに電話して(マジでどこに電話すればそんな芸当ができるんだろう笑)
街の明かりが一瞬にして消えます。
孫はそれを見て大喜びしちゃいます。国民からすれば迷惑千万ですけどね。
「殿下も命令したい!」とか言っちゃいます。
ここから皮切りに二人の順調だった生活が変わっていくわけです…。
このシーンを見て、独裁者はどういう心境でこんなことをしたんだろうと考えるとなかなか興味深いです。
じじいのとして孫にすごいところを見せてやりたかったのか、それとも次期後継者である孫に後学のために自身の権力を見せつけたのか…
まぁおそらく両方だとは思いますが
あと実は、独裁者である祖父の独裁者的一面を見られるのはこのシーンくらいしかありません。
国民の怒りっぷりから察するに、独裁者の残虐非道ぶりはもっと凄惨なものだったのでしょうが。
個人的に印象に残ったシーン
逃避行の最中に二人は釈放された政治犯たちと同行します。
そのなかの一人は拷問の後遺症によって満足に歩くこともできません。
投獄、拷問される元凶になった独裁者(変装済み)に背負われて旅をしているところもなかなか考えさせられました。
やがて足を怪我した政治犯は5年ぶりに愛する妻が待つ家にたどり着く。
しかしその妻にはすでに新しい旦那と子供が生まれていました。
絶望した彼は元妻の前で喉を刺して自害します。
その政治犯が妻と話している最中のアングルはずっと政治犯の顔のみに絞られています。
元妻の声だけが聞こえるなか政治犯の彼の顔が絶望と怒りに染まっていくこの流れはなかなかにクルものがありました。
憎しみの果て
監督はこの映画で伝えたかったことは「"独裁者が引き起こす悲劇"と"暴力革命が引き起こす悲劇"を描き、とにかく暴力はいけないと伝えたかった(Wikipedia引用)とのことです。
独裁者が引き起こす悲劇"と"暴力革命が引き起こす悲劇"に関してはなるほどと思いましたが暴力はいけないということがテーマと聞いて、ん?と思いました。
ラストシーンで独裁者が民衆につかまってしまったシーンで逃避行を共にしていた政治犯2が「こいつを殺して生まれる民主主義に意味などあるものか!」と威勢よく言います。
創作作品ではある意味使い古されているテーマ「復讐は是か非か」がやはりこの作品でも頭をもたげてきます(のではないかと勝手に思っています)
そう考えると監督の述べた「暴力はいけない」というテーマがチープに感じてしまうのは僕だけでしょうか…。
まとめ
この作品が持つテーマは決して軽いものではありませんが全体を通した雰囲気は重苦しいものではありません。
むしろ要所で少しなごめるような空気感が存在するのは演出ももちろんですが孫のかわいい演技も起因していると思います。
自分でお尻もふいたこともないような孫が逃避行で何を見て何を思うのか…
気になったら見てみてください!
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初めての映画レビューなので勝手がわかりませんが引き続き頑張ります!
Takuya
案の定三日坊主--そして気まぐれな復興
もう久しぶりすぎて誰に向けてこのブログを書いているのかはわかりません。
まあそんなもの最初からわかってはいませんでしたが…
どうもTakuyaです。
実はもうすでにBangladeshから日本に帰ってきています。
去年発生したテロが原因というか、職場が原因というか…。
まぁとにかく今は日本で極貧生活しています。
最近暇なのでこのブログ復興させてみようかなーと思った所存です。
映画のレビューブログにでもしようかな。
また気が向いたら更新します。
Takuya
この国は嵐が酷い