【ネタバレ有】ドント・ブリーズ【悲鳴をあげられないという恐怖】R12
今回は昨年に公開となったホラー映画『ドント・ブリーズ』を語っていこうと思います。
この映画は公開当初からみたいなーと思っていたんですが残念ながら機会がなく映画館では見れませんでした…WOWOWでもう公開したのでさっそく視聴!
それでは事前情報を少し…
舞台はアメリカ・デトロイト。経済破綻しゴーストタウン化が進む街で、養育放棄の両親と暮らす不良少女ロッキーはいつの日か共にここから抜け出そうと妹に約束していたが、そのために必要な逃走資金を得られるあてはなかった。
ボーイフレンドのマネーから地下室に金庫を持っているらしい視覚障害者宅への強盗を持ちかけられた彼女はマネーと友人のアレックスの3人で真夜中に盲目の男性の屋敷に押し入る。だがその男は元・軍人であり、盲目でも超人的聴覚を持ち、侵入者の殺害も厭わない恐ろしい人物だった。果たしてロッキーとアレックスは、即座にマネーを殺害した盲人の追撃を回避して、悟られることなく静寂を保ったまま密室の家屋から脱出できるのか。 (Wikipediaより転載)
本作はアメリカのホラー映画となっていますが、今作のホラーの対象はお化けやゾンビではなく盲目の老人。(作中ではこの老人の名前は出てきません)
しかし彼はただの老人ではなく元軍人のスーパーおじいちゃん。
声めちゃくちゃ渋くてかっこいいんですよ…この人は確か「アバター」でも悪役の軍人として出演していましたね。
老人はイラクでの戦争で手りゅう弾を目に受けてしまいそれ以来目が見えないそうです。
あらすじを僕なりに少し補足します。
主要人物はこの老人と強盗に入った 3人の若者。
3人は「目が見えないじじいが家に30万ドル隠し持っているらしいからぶんどってやろうぜ」と計画します。ただ正確には警備会社のカギをもつアレックスは全く乗り気じゃないですが、ひそかに恋い焦がれるロッキーをこのただれた生活から脱却させるために仕方なく強盗に協力します。
ここからネタバレ注意!
結局一番怖いのは「狂っていないサイコパス」
この映画の見どころは目の見えない殺人者が自分のすぐ横を通り過ぎていく恐怖と緊張感。
このシーンが一番ひやっとしました…
本当にぎりぎりで回避成功!でもこの時の足音でバレててもおかしくなさそうですが…。
この老人、映画の前半あたりまではただの「目が見えない強いおじいちゃん」でした。
そりゃそうだ。自分の家に侵入してきた泥棒を撃退しているのだから(冷静に銃弾をお見舞いしたりちょっとやり方は過激ですが)しょうがないと言えばしょうがない。
ですがロッキー(女の子)とアレックス(気弱な青年)が家から脱出するために地下室に降りてあの「秘密」を見つけてしまうと「ただの盲人」という肩書にキ〇ガイの単語が加わってしまいます。
でもこの老人。やらかしていることは完全にやばい人なのに言動の節々はその雰囲気を全く感じさせません。
静かな狂気、ロッキーのズボンをはさみで切り裂き、冷凍精子が入ったスポイトを手に近づく老人がマジで恐ろしく感じました。女性にはもっと恐ろしく感じられるシーンでしょう。
※その後の老人がロッキーにスポイトを思い切り突っ込まれるシーンも違う意味で恐ろしく感じましたが 笑
レイプによる快感を得ようという浅はかな悪行ではなく、ただ「亡くなった自分の娘の代わりを『創る』」という根の深い行動が本当に末恐ろしい。
犬、最強説
今作の主要人物は老人と3人の若者と先述しましたが正確にはもう一匹の犬が登場します。
この犬が(老人視点から見れば)非常にいい仕事をします。
やはり盲人の老人なので一応盲導犬という立場なんでしょうが…こいつ、マジで狂暴です。
絶対盲導犬なんか無理だろ!!と今なら思います。
よっく見たらつぶらな瞳してやがるぜこいつ…
ロッキーやアレックスもこいつがいなければ普通に動けたでしょう。
この映画の設定上難しいと思われた視聴者を急な音などでびっくりさせる演出にも彼が一役買ってくれます。洋ホラー映画には必ずある演出ですね 笑
肝が据わりすぎの老人(Lv.99)
この老人、非常に強いです。
銃を持った健常者を相手取って銃を奪って勝っちゃうんですから。
しかし!
しかし!!
それにしたって老人不用心すぎやしませんか?!
途中まで強盗犯が何人いるのかも分からないにも関わらず、普通に歩き回っているんですから 笑
そりゃあロッキー側から見たら仲間が見事な手腕で無残に殺されて恐ろしいのはわかるけど…アレックス待ち伏せして後ろから殴れよ…
あ、殺したら罪が増えるか…
誰が悪か、善い人などいるのか
この作品の難しいところは基本的に人に誇れるほどの人格を持った人物がいないところです。
老人は侵入された側とはいえ、明らかに倫理的に逸脱した行動をとっているので、明らかに善ではありませんし、マネーは単純に金が欲しいゆえの犯行、アレックスも犯行に乗り気ではないにせよ結局行動を起こしてしまいます。
そしてロッキーに関しても妹と平和な暮らしのためという理由があるとはいえ強盗に挑むという悪行。しかも目の見えない老人宅に。
このロッキー『金は欲しい、警察に捕まりたくない、殺されたくない』ある意味当然ともいえる葛藤にもつれているのがありありとわかるのですがこれが非常にイライラする 笑
ただ最後にはロッキーも決断しますが…
完全な善人も、完全な悪人もいないのです。
そこを考えると今作はある意味すごく感情移入しづらい作品だと思います。
個人的に少し物足りない終わり方
この映画のラストは老人とロッキーの痛み分けに終わりました。
老人は卑劣な強盗の被害者として報道されました。実際金はロッキーに強奪されてしまいましたが、監禁していた女性のことは闇に葬られる形になってしまいます。
そりゃそうです。ロッキーがこのことを告発でもしようものなら自身の強盗の罪もすべて白状する必要があるのですから…。
「その金はくれてやる。そのかわり…わかっているな?」と老人の心境が聞こえてきそう。
個人的な希望を述べると、老人とロッキーの抱えた罪はすべて露呈して両方が堕ちていくラストが観たかった…。
一人寂しげにうつむくロッキーの妹のアップの後、エンドロールに移行とか良くないですか?
まぁそんなこと言いながらも実際の終わり方もなかなか気持ち悪くて好みでした 笑
まとめ
この映画が劇場で公開されたときは非常に話題になっていた作品でしたね!
トレイラーのクオリティーも非常に高くとてもわくわくさせられました。
ホラー映画好きな方にはぜひ観ていただきたい作品です。
従来のホラー映画の驚かせ方とはまた少し違った目線で攻めてくる「怪作」だと思います。
では